140人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺が選ぶのは蒼い扉だ」
そう俺が告げると少年はにっこりと嬉しそうに笑い右手を蒼い
扉の方へと向けた。
「水面を移す蒼い扉だね。
蒼い扉はその向こうに美しい湖を称えているよ。
けれど気をつけて、美しさに見とれていると悪戯されちゃう
よ?」
何言ってるんだ?
俺がそう聞こうと口を開くと同時に少年は右手の指を鳴らした
。
パチンという小気味いい音と共に蒼い扉が勢い良く開き、急な
突風が吹く。
それにバランスを崩すと共に俺は蒼い扉へと吸い込まれていっ
た。
「いってらっしゃい、アリス」
俺が最後に見たのはそう言いながら手を振る少年の姿だった。
最初のコメントを投稿しよう!