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「俺が選ぶのは紅い扉だ」
そう俺が告げると少年はにっこりと嬉しそうに笑い左手を紅い
扉の方へと向けた。
「赤薔薇に染まる紅い扉だね。
紅い扉はその向こうに女王様お気に入りの広大な薔薇園があ
るよ。
けれどそこは今はパーティー会場みたい、お茶の誘いは受け
たほうが懸命かもね?」
何言ってるんだ?
女王様?
お茶?
いったい何のことなのかサッパリ分からない。
俺が何のことなのか聞こうと口を開くと同時に少年は左手の指
を鳴らした。
パチンという小気味いい音と共に紅い扉が勢い良く開き、急俺が最後に見たのはそう言いながら手を振る少年の姿だった。
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