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カーテンが顔を撫でる感覚で男が目を覚ますとぬいぐるみに囲まれたフカフカのベッドに横たわっていた、そこで化粧を落とした命の恩人に対面する。
「あーた良い男なら何言っても許されると思ってるの?最初の言葉が『化け物』よ、乙女心がブロークンじゃない」
一応口調は女性だがそれ以外は筋肉質な中年男性にしか見えない。
「はい、口は閉じる!人の目を見る!私はアケミ本名は聞かない!あーたのお名前は?」
「そんなモン無い……番号で呼ばれてたから必要無い……」
明らかに恐怖の目でアケミ(本名:磯部 剛)を見るその顔はさながら小動物のようだった。
「……よくわかんないけどあんた訳ありね、じゃあアケミお姉さんが良い男のあんたにお名前つけたげる……」
その日から彼の名は
屋代 暗司
(やしろ あんじ)
になった。
その名前にいかほどの意味があるのか彼しか知らない。
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