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「じゃアタシ仕事行くから頑張ってね、暗ちゃん」
強烈な香水の匂いを残しアケミは事務所を後にし、気まずい二人が残された。
「とりあえずどうぞ……」
初めてのまともな客に戸惑いながら応接室のソファーを勧めて自分はコーヒーを置き、テーブルを挟んで向かい側に座る。
「依頼内容をお願いします」
暗司が言うが早いか女性は可愛いキーホルダーをつけたバッグからファイルを取り出してコーヒーが飛び散るのも構わない勢いで叩きつけるようにテーブルに置き、あるページを開く。
「『大手宝石店警備員殺害事件』ちょうど一年前に起きた事件です。私はこの事件で殺された警備員の娘です」
「なるほど、犯人は銃弾を受けても微動だにせず用意した車で逃走……警察も手を引いた事件ですね」
暗司の落ち着いた様子に驚きながらも女性は話を続ける。
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