心に花束両手に銃を……

狼

「父は私を男手一つで高校に入れてくれました。だから今も父を殺しながらのうのうと生きている犯人が憎くて仕方がないんです……」

キュッとスカートの裾を握る女性の目から涙がこぼれてテーブルに落ちた。

「復讐代行ですね……まあ良いでしょう、俺個人としても興味がある事件だし引き受けますよ。三嶋 凛さん、あとアケミさんが高校生のうちは化粧は必要ないと言ってたので慣れてないようなら止めた方が良いかと」

手を組みその上に顎を乗せたまま表情を変えずに女性の名前を言ってみせた。

「なんで……そこまでわかるの？」

バッと顔を上げた凛の表情はアケミに向けた物とは違う恐怖が浮かんでいた。