決意の夜

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「だよね。ごめんね。変な事訊いて」 「いや、別にいいよ。ああいう電話になると、何か追い込まれて気持ちも高まっちまうだろ。勘違いされても仕方ないよ」  確かに電話で話していた俺は負けじと強気な姿勢をしていた。恵子がそれを見てそう思われたのだろう。  時刻は1時半を超えていた。 「俺風呂入ってくるよ。恵子はベットで先に寝てていいよ。俺はソファーで寝るから」 「うん。わかった」  このシチュエーション、普通ならラッキーとか思う人も多いかもしれないが、こんなムードを作るために恵子を家へ連れてきたのではない。思い切り誤解されてもしゃーないだろうなと、自問自答した。  風呂からあがり、俺は押し入れから毛布を取り出し、ソファーに横になり毛布をかけた。恵子は既に寝ているようだ。  横になってから約10分位考えてもはっきりした良い対策も見つからず、考える事を止めて眠りに就いた。  それから何分経っただろうかわからないが、俺の肩を揺する恵子が耳元で囁いた。 「ごめん剛斗、起こしちゃって」 「どうしたんだ?」 「怖くて眠れないの。傍で一緒に寝てくれる?」
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