32杯目 あんふぇあ

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「で、なんだよ? 人を呼び止めたからには、それなりの用があんだろ」 「なんでお前そんな偉そうなんだよ! 俺を敬え!」 「…………」 「あ! ちょ、立ち去ろうとするな!!」  竜は騒ぎ立てる加治にやれやれと溜息をつくと、その場を離れようとした。加治はあっさりとどこかへ行こうとする竜を慌てて引き止める。  またもや掴まれた左腕を竜は乱暴に振り払うと、加治をじろりと睨み付けた。 「……なんなんだよ」 「ふっ、そんな人を見下した態度をとっていいのかなー?」 「は?」  加治の含みのある言い方に竜は眉間に皺を寄せた。加治は、にやりと笑うと竜の目の前に愛用の手帳を差し出した。 「高校生探偵クンに、特別にいい情報を差し出してあげようと思ったんだけどなー」  その言葉に、ヒラヒラと目の前で揺らされる手帳を竜は無言のまま奪い取ろうとするが、ひょいと加治はそれを避けた。その光景はまさしく猫じゃらしで遊ばれる野良猫。竜は不機嫌そうな表情を浮かべると、舌打ちをした。態度の悪い野良猫である。
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