32杯目 あんふぇあ

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「さっき刑事らしき奴らを見たけど、あの様子じゃ、まだこの情報は知らねえなー。警察も手に入れてねえ、極秘情報だぜ? 知りたくねえか?」 「勿体ぶらずに、とっとと言え」 「どうしよっかなー。タダじゃ、ねえ?」 「…………」  にっと笑った加治に竜は眉間の皺を深くすると、左手に持っていたメロンソーダの瓶と生温いお汁粉を投げ渡した。突然投げ渡されたそれらを加治は慌てて受け取ると、怪訝な表情を向けた。 「なんだこれ?」 「情報料」 「は? いやいやいや、安過ぎるだろ」  竜の言葉に加治が苦笑いを浮かべると、竜は舌打ちをして腕を組みながら目を細めて加治を見た。 「あんた何か勘違いしてねえ?」 「え? 勘違い?」 「そう。あんたと俺は同じ立場じゃねえ。バラしてもいいんだぜ、こっちは。面白半分に取材目的で事件を嗅ぎまわっている怪しい記者がいるって」 「…………」 「警察は良いとして、問題は旅館だろうな。首吊り事件なんて取材されちゃ、営業妨害以外のなんでもねえし。今までの取材無駄になんじゃねえの? つうか、訴えられたりして? 関係者だって嘘ついてるしな」
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