33杯目 解答用紙

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 椿の間。  部屋に戻ってきた美月はコートを脱いだ後、テーブルの傍に座ってぼんやりとテレビを見ていた。部屋の中には美月と律子の2人だけで、智弘はつい先ほど飲み物を買ってくると言って、部屋を出て行ってしまった。  美月は、窓際に置いてあるソファーに座って塞ぎ込んでいる律子を時折横目で見ては、どう声を掛けていいのかわからず溜息をつく。  刑事の話を思い出し、もしかしたら刑事が律子に自分と泰雄が何か関係があったかもしれないと匂わせたせいで自分にこんな態度をとっているのだろうか、と思い、もう一度溜息をついた。 「(……どうしよう……)」  賑やかな笑い声を発しているテレビとは対照的に、部屋の空気はどんどん暗いものになっていた。  3度目の溜息をついた後、突然部屋の扉を乱暴に叩く音が部屋中に響いた。ドンドンドン!と明らかに智弘ではない音に、美月と律子は顔を強張らせた。 「……誰?」  美月が困惑した表情を浮かべて、そう呟いた瞬間、呑気な声が美月の耳に届いた。 「みーつーきーさーん!! 俺です!! 岡本由貴クンです!!」 「……岡本君?」  思いもしない人物の声と名前に美月は目を丸くさせた。律子は怪訝な表情を浮かべて、美月を見ている。美月は立ち上がって、居間を出て扉の前に立つと鍵を開けて、ゆっくりと扉を開いた。  扉を開けた先には、にんまりと元々細い目をさらに細めて笑う由貴が立っていた。その少し後ろには、気まずそうな表情を浮かべた健太もいた。 「どうしたの? なんで、部屋……」 「まあまあ、細かいことはいいじゃないっすか! それより、美月さんとそこにいるもう一人のお姉さんに、ちょっと来てもらいたいとこがあるんです」 「来てもらいたいとこ?」  由貴の言葉にさらに困惑した表情を浮かべる美月に由貴は、にっと笑った。 「だーいじょうぶですって! 怪しいとこじゃありあませんから、あの眼鏡の人も居ますし。刑事さんとかもいるんで、ちょう安心ですから」 「……何しに行くの?」 「真犯人を解き明かしちゃうんです」 「…………え?」
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