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結局、具体的な説明もなく強引に部屋を連れ出された美月と律子は、意気揚々と歩く由貴と健太の後をついて、渡り廊下へと向っていた。
美月は横目で少し離れた場所を歩く律子を見た後、視線を前にいる由貴へと向けた。
「ねえ、岡本君」
「なんすか?」
「犯人、解き明かすってどういうこと? 一体誰がそんなこと」
怪訝な表情を浮かべて、尋ねて来る美月に由貴は、にんまりと笑いかけた。
「それは着いてのお楽しみです!」
由貴の答えに美月は首を傾げる。なんで秘密にするの?そう言いたげな目で由貴を見上げるが、由貴は気付いていないフリをして、視線を前に戻した。
渡り廊下の入り口前。普段は全く人通りのないその場所が、今日はやけに賑わいでいた。
竜の命を受けた由貴と健太に連れて来られた選ばれた者達。「犯人教えちゃうよ、ちょっと来て」と軽い誘いで呼ばれた者達は、一向に始まる気配のない謎解きに時間を持て余していた。
「なあ、まだ教えてくんねえの?」
「うっせえ、黙ってろ」
「……クソガキ」
壁に凭れて集まって来た人間を、ぼんやりと眺めていた竜に隣にいた加治が声を掛ける。
しかし、竜は面倒くさそうな表情を浮かべて、年上を年上と思っていない言い方で軽くあしらった。加治は不服そうな表情を浮かべると、壁に背を預けてしゃがみ込んだ。
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