33杯目 解答用紙

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 渡り廊下には、刑事の石坂と田所、沙織に勇人、智弘、そして竜と加治を合わせた7人の人間が集まっていた。  石坂と田所は、壁に凭れて視線を下に向けて、だるそうな雰囲気を纏った竜をじろじろと品定めするような目で見ていた。  それから数分後、陽気な声が廊下の向こうから7人の耳に届いた。 「最後の2名様ごあんなーい」  由貴の声に7人全員の視線が集まる。視線の先には、にんまりと笑っている由貴と気まずそうな表情を浮かべている健太、そして美月と律子が立っていた。4人が渡り廊下の入り口前に到着すると、竜は壁から背を離して一歩前に出た。  由貴は竜に視線を向けると、にっと笑いかけた。 「ボス! ミッションコンプリートですぜ! 褒めて!」 「ハイハイ、タイヘンヨクデキマシタ」 「またもや心がこもってねええ!!」  バカー!と叫ぶ由貴とそれを鬱陶しそうな目で見る竜。どうでもいいじゃれ合いが始まったことに、石坂は呆れた表情を浮かべて溜息をつくと、竜に声をかけた。 「君達、我々も子供の遊びに付き合うほど暇ではないんだよ。とっとと君達が見つけた『真犯人』とやらを教えてもらえないかな」  そう言った石坂に竜と由貴は視線を向けると、じゃれ合いをやめて、集まった者達に視線を向けた。竜は右手であちこち跳ねた明るいブラウンの髪をかき混ぜて、口を開いた。
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