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ある日、男が死にました。
目が覚めると、真っ白い、おそらく神と思われる男と、真っ黒い、おそらく悪魔と思われる男がいました。
真っ白い神が言いました。
「あなたはなぜ、ここへ来たのですか?」
男は答えようとしました。ところが何も思い出せません。そのことを伝えようとして、口を開きました。
「――――」
しかし、声が出ません。いえ、正確には声の出し方さえも忘れてしまったのです。
真っ黒い悪魔が言いました。
「話す必要はありません。すべてわかっているのですから。」
真っ黒い悪魔は意外にもとても丁寧な口調で言いました。
男は困惑しました。ならばなぜ神は聞いて来たのだろうと。
それに真っ白い神は答えました。
「あなたが正直に答えようとするかどうかを試したのです。」
真っ黒い悪魔が続けて言いました。
「それでは、あなたの処遇を決めます。」
真っ白い神が言いました。
「私は天国への道。」
真っ黒い悪魔が言いました。
「私は地獄への道。」
白と黒が同時に言いました。
「「あなたはどちらを選びますか?」」
男は迷いつつも天国に行くことを望みました。
真っ白い神が言いました。
「ではこちらへ…。」
そこには天へ伸びる階段がありました。しかしそれは、天には届いていませんでした――――。
この後男はどうなったのか、あなたに想像できますか?
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