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“先輩
これは多分、私の
最初で最後のラブレターです。
あの日、突然現れた先輩に、
私がどれぐらい戸惑っていたか知ってますか?
思っていた人とはまったく違う、すごく気が短くて、頑固でびっくりしちゃいました。
でも、遠くから
ずっと憧れていた先輩は
やっぱりすごい人で、
くやしいけど、
やっぱり好きに
なってしまいました。
朝目覚めると
ダイニングには
先輩のつくってくれた
温かい朝食があって
リンクではスパルタ指導に必死でついていって…
私が逃げ出しても、迎えにきてくれた先輩。
投げ出しそうになったら、支えてくれた先輩。
初めてオペラを観に連れていってくれたのも、先輩でした。
一緒に笑ったり、泣いたり、傷つけあうこともいっぱいあったけど、それまで知らなかったことや、感情もおぼえました。
こんなに濃くて、どんな悲しい日も素敵だった毎日を、私は一生忘れません。
最高のスケートができる先輩が好きでした。
お料理が上手な先輩が好きでした。
物知りで、面倒見がよくて、本当はとっても情に厚い先輩が好きでした。
はにかんで笑うときも、寝ぐせも、弱さも、みんな大好き。
ふざけてないで
一度くらい、ちゃんと好きって言っておけば良かった。
私の、唯一の後悔です。
モスクワには、後悔はもっていけないので、ここに置いていきます。
もう負けたくないです。
これから、精一杯スケートをがんばります。与えてもらったものを、無駄にしないように。
まだまだ迷いと不安ばかりだけど、今度は思い出が支えてくれるって、そう信じて。
さようなら。
先輩は、私のすべてでした。”
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