青い誘惑

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それからゆっくりと体を離して見つめた。久しぶりにこんな近い距離で見る由美はやっぱり美人だと惚けつつ、高真はそっと口づけた。 アルコールのせいで自制心はややとんでいた。 高真は、ずっと由美が好きだった。長い髪も昔のまま。唇の柔らかさや感触、優しく啄み絡むその手管も、懐かしさとともに鮮明に蘇ってくる。 それなのに「もうおしまい」。逸らしたのは由美だった。 「なんで……?」 「上で待ってる彼女に、悪いと思わない?」 その言葉を聞いて、高真は一気に酔いがさめる気がした。 「一緒に住んでるんでしょ? バンビちゃんと。……ごめんなさいね、こないだ二人の話を偶然聞いちゃって。」 まさかバレていたとは。わかりやすく動揺してしまう。 「あ、あれはアイツのアパートが燃えてやむを得ず…!」 由美はクスッと笑って、高真の胸を押した。 「理由なんてどうだっていいの。私とは、一緒に暮らすなんて考えもしなかったでしょう? 同じ空間に生活するなんて。」 「由美だってつき合ってる時そんな事ひと言も言わなかったじゃないか。そういうこと望んでるならオレは今からだって…」 「やめて。」 穏やかな口調で、しかしハッキリと由美は制した。そして最後にやはり微笑んで、選択は高真に委ねる。 「よく考えて。今のあなたの気持ち。本当に私と暮らしたいと思う? これ以上、私を惨めな女にするつもり?」
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