「先生」[3Z銀→土]

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「先生」[3Z銀→土]

「先生」 その一言が、他の誰に言われる言葉とも違って聞こえたのはいつからだろう。 先生、と呼ばれる度に胸が締め付けられたのは、 「先生」 「…土方か」 まるで心の中を覗かれたかのようなタイミングで声がかかって、銀八は緩慢な動作で振り返った。今し方、頭の中で自分を呼んでいた相手が、まさしくそこに立っていた。 「これ、今服部先生からアンタに渡すように頼まれたんだけど」 「ン?あぁ、そりゃどーも、ごくろーさん」 土方の手にはA4サイズのファイルが握られていて、何のファイルだったか、と思いながら銀八は手を伸ばした。 僅かに手が触れて、ぴたり、と銀八の動きが止まる。その一瞬で、たったそれだけで、僅かな体温が、体を、思考を支配した。 「………」 「あ?どうしたんだよ、先生」 「…いんや、何でもねーよ」 訝しげに視線を向ける土方に対し、銀八いつものダルそうな調子で首を振るとファイルを脇に挟んで両の手を白衣のポケットにしまった。残っているはずもないのに、指先がまだ温かいような気がして胸が締め付けられるような気持ちになる。 「銀八せんせー」 「んぁ?」 「あんまボケッとしてるとさ、早くボケ老人になるぜ?」 「何だとコノヤロー」 言い逃げるように土方が笑いながら去っていくその背中を見つめて、銀八は笑えない自分がいるのに気がついた。 「…ガキの初恋かよ」 自分を嗤うように呟いたその一言が、頭の中で繰り返し流れて、ぴたり、と銀八はまた動きを止めた。 「初恋って…恋って…まさかなー、銀さんに限ってそりゃないよなー!ハハッ…ハハハ…冗談、だろ…?」 やり切れなくなった銀八は急にその場にしゃがみこんで頭を抱えた。銀色の柔らかな髪がくしゃり、と形を変える。 「……マジ、かよぉー」 わかって、してしまった。気づいてしまった。 もう、気持ちを無視出来やしない。 あぁ… 「先生」の一言に妙な引っかかりを覚えるのも、 「先生」と呼びかける声に胸が締め付けられるのも、 恋を、してしまったから…… *** 3Z設定 銀→土 銀さんが土方への想いを自覚します。 やっぱり中学生の初恋くさい。 銀さんは気になるととにかく見てしまうと思う。んでよく目が合うもんだから土方も密かに銀さんを意識しちゃえばイイ。
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