獣が嗤う大晦日[高土]

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「チッ」 高杉の素早い身の引きに、手応えはまるでない。再び構えて斬りかかった。 ―キィンッ… 火花が飛ぶんじゃねぇかって程の、衝撃。 引いたらその瞬間体が真っ二つになる。 獣が、ニヤリと嗤った。 「あぁ、年が明けるな」 「……あァ?」 遠くで新年を知らせる花火が、上がった。 「おめでとさん」 「はぁっ?」 ガキンッ、強い衝撃に刀を払われ、バランスを崩し、立て直した瞬間には、高杉はすでに身を引いていた。 「てめぇ、高杉ィ!!」 「じゃーなァ。こっちでドンパチやってる間に用事は済んだみてぇだ」 「待てコラ!!」 「次こそ俺のモンになれよ」 「副長!!攘夷志士が引き始めています!」 「土方さん、野郎どもは囮だ!」 「何だと!?」 「副長!」 「…っ…1番、2番は高杉らを追え、深追いはするな。3番、4番は残党の始末、徹底的にだ。息のあるモノは捕らえろ。5番、6番、7番は態勢を整えて街の警備へ。8番は動けない隊士を保護、残りは近藤さんにつけ!」 「「「はっ」」」 「山崎ィ!!」 「はい!」 「今回動いていた黒幕を探れ。前後の攘夷派の動きを調べろ」 「かしこまりやした!」 命令通り散っていく隊士を見送ると今更に斬られた腕が痛み始める。 「いてぇ、な…」 血の滲む隊服を破り、応急で止血をすると喧騒の中へと戻る。 高杉の消えた場所からは、煩いほどに音が聞こえる。 「クソったれ…何がめでてぇんだよ」 こんな世、こんな立場じゃ、これが精一杯。 刀を交じるその瞬間だけ、俺達は交わる。 あの声に、あの瞳に捕らわれてはいけない。 頭の中ではまだ、獣が嗤っている。 **** 初高土。 誰がなんと言おうと高土です。 戦闘シーンがお粗末… つか局長なのに近藤さん出てこないな…    
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