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『お前が好きだ』
―え?多串くん?
『好きなんだ、銀』
―え、ちょ…急にどうしたのさ!
『ぎんとき、』
~♪~~♪♪~♪
「っは!!!」
耳元で鳴るバカでかい音にガバッと布団を跳ね退けで勢いで起き上がる。
心臓がバクバクと脈打っているのに気がついて、出てもいない汗を拭った。
「ゆ、夢か…」
もぞもぞと再び温かな布団に潜り込んでゆっくりと深呼吸をする。冷えた朝の空気が肺に入って少し痛くなった。
「…夢…かぁ…」
枕の下に手を入れるとカサリと指先に当たったものを取り出し、それを見て再びため息。
「土方くん…」
初夢は土方を、と…半ばノリで枕の下に入れた愛しい人の写真にため息しか出てこない。あぁ、なんて幸せな妄想…あー、違う、夢だったんだ。
どうせ夢ならあんな事やこんな事までしたかったのに…銀さんのたぎる情熱をどうしてくれるんですかコノヤロー。
~♪~~♪♪
「って、ウルサいよ、お前…って携帯ー!!」
鳴りっぱなしだった携帯を慌ててひっつかんで画面を見ると何と!
何と夢にまで見た土方!!
「はいはいはいっ、銀さんですよ!!」
『うるせぇ!!』
「うわ、ごめん」
『つか出んの遅ぇよ、何してんだよ』
「悪ィ悪ィ、寝てた」
『もう昼前だぞ…』
「ははははは…そ、それより俺に何か用だったワケ?」
『あぁ…まぁ、大した事じゃねぇが…今から会えねぇか』
「えっ?い、今から?」
『無理か?』
「行く行く行く!銀さん今すぐ飛んでいくよー!?」
『じゃあ今から30分後に神社の鳥居前でどうだ』
「神社な、わかった」
よっしゃ!これで新年早々土方に会えるじゃねぇか!!
俺は布団から飛び出して支度を始めた。
「よぉ」
「土方…早いな」
「まぁな」
前にも見た事のある黒の着流し姿で赤い鳥居にもたれかかる土方は、惚れた欲目からかめちゃくちゃ綺麗だ。
「で、突然呼び出したりして何の用よ?」
ここは町外れの古い神社だから、初詣の客すらいなくて、新年明けたばかりだというのに閑古鳥がないている。
「あぁ、お前に言いたい事が出来たんでな」
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