プロローグ

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 そこは、電化製品を扱う店の前。飾られたテレビから流れるニュースに耳を傾ける気もなく、舌打ち。  普通ならば、ここは止まるところだが――  焦りが、神経を麻痺させる。 (別にいいよな、うん)  俺は周りを見もせず、赤信号のまま駆け出した。今はとにかく、時間が惜しい。  お世辞にも俺は「優秀な生徒」じゃないし、むしろ模範的な「不良」だと、普段の素行を見れば誰もが言うだろう。それに関して特に思うところはないが、下手に遅刻してこれ以上、教員に目を付けられるのも面倒だった。  だけどこの選択が、この過ちが、俺の人生を一変させた。
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