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悲鳴じみた叫びが、俺の鼓膜を劈(つんざ)いた。俺の後ろ、前、その他諸々から。
「え……?」
ゆっくりと、横を見る。
――嘘だろ。
呟きは轟々たる走行音に掻き消えた。――トラックという名の悪魔が、俺に向かって急接近してくる。
明らかに止まる気配はない。当然だ。俺が信号無視をしたのだから。
頭が真っ白になるとともに、時間がスローで過ぎていく奇妙な感覚に襲われる。
「そんな――」
後悔の暇もなく、鉄の塊が俺に触れた。
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