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「お、おい!?オッサン!!」
速水に無理矢理背中を押され、美術室のドアを擦り抜けた。まるで水をくぐるような感覚。
そして、開けた視界に見えたのは――眼鏡をかけた少女が1人。溜め息を吐いて、椅子に座っていた。
こいつが神無月とかいう女子生徒か。
「ここまで来て、後には退けない……よなぁ」
俺は溜め息を一つ吐いて、少しずつ神無月との距離を縮めていく。背後から思いっきり驚かせたいが、そんなことしたら地獄行きだもんね! 自重、自重!
「悩めるあたしを、神様は助けてくれないのかなぁ」
少女が、小さく呟く。俺は速水に習ったように輪っかについている赤いボタンを押し、
「残念。神様は現場職じゃないんだ」
まぁとりあえず喋ってみた。
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