プロローグ

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 急に真剣になった速水に気圧された俺は、言葉をなくして押し黙る。数秒の間をあけ、速水が最後の一文を読み上げた。 「……鈴原霧生、横断歩道に飛び出す。結果、トラックにはねられ……死亡」 「はぁ? 俺は飛び出したことなんて一度も――……痛っ!?」  瞬間、頭に鋭い痛みが走り抜け、膝をついてうずくまる。  ――やがて流れ込んでくる、様々な情景。まるで堰き止められていたかのように、次々と、次々と。 「なんだ……これ……!」  見たこともない場面。  記憶にない出来事。  襲い来る激痛をどうにか噛み殺すと、俺は目を閉じ、溢れる情報に意識を集中させた。
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