先輩

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廊下は誰一人として 歩いていない。 私の足音だけが妙に響いた。 当たり前か。 今は放課後だし みんな部活やってるもんね。 応援する声とか 笛やタイマーの音とか 道路を走る車の音で 外は賑やか。 体育館に行っても こんな風に騒がしいんだろうな。 トントントン 立入禁止と書かれた 屋上の入口 でもそんなこと関係ない。 何の躊躇いもなく 階段を上り始めた。 初めて来たかもしれない。 中学の頃から 屋上で授業をサボることに 憧れてた。 少し緊張するなぁ。 ガチャン やっぱりドアには 鍵がかかってある。 さっき真紀先輩に借りた ヘアピンを鍵穴に差し込んだ。 「…真紀先輩いっつもどうやってんだろ。」 ヘアピンで開くってゆーけど… やだなぁ、最近独り言増えた。 とりあえず差し込んだあとは 中でガチャガチャやってみた。 でも開かない。 「開かないじゃん…」 カチャン ん? さっきとは違う音に反応した。 ガチャン あ、開いた。 ふわっ 風が、静かにふいていた。
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