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あれから…幾年月が過ぎたのだろう。
古い歴史書を閉じて、今上帝・慧遠(エオン)は短い溜め息をついた。
月世界を創造し、発展をもたらした女王・アルテミスは、ある時を境にその統治を放棄した。
地球から見て裏側に当たる、日の光の当たらない、最も暗い城の中に閉じ籠ったきり、その姿を現そうとしなかった。
みるみる衰退していく月世界をたて直すため、民衆の後押しを受け立ち上がった朝廷…それが月華朝だ。
月華朝は代々善政を行い、滅びゆく月世界から地球への移住計画を率先して進めている。
慧遠はその月華朝の6代目の帝にあたる。
5代目の帝が早くに亡くなったため、一人息子だった東宮・慧遠は、わずか10歳でその跡を継いだ。
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