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ここは地球の島国、日の本一の大都市──江戸。
たくさんの人間と、たくさんの空人が街の中を闊歩し、共に共存の道をたどっていた。
二十年前の空人来襲から、文化も技術も大いなる進歩を遂げた今日であるが、技術革新の裏には当然闇がある。
日々進む日の本について行けず過去に取り残された者達──特に武士の一部にとって、今の世は受け入れがたいものになっているのもまた事実。
異人を嫌う、異人に恐れをなした幕府に棄てられた侍達は攘夷志士と呼ばれ、日夜空人をこの国から消し去ろうと策を講じている。
攘夷派が起こすテロや、欲望に溺れた者達が引き起こす事件も絶える事はない。
つまり毎日のパトロールを怠ってはいけない。
そのはずなのだが──。
時刻は昼の三時を過ぎた所。
江戸某所、真選組屯所内。
真選組はテロ組織に対抗する為作られた特別警察で、本来ならば街に見回りに出たり、通報があった現場へ赴いたりしているはずの一隊士達。
その中の一人、
今岡海斗。
白いワイシャツその上に黒い上着を羽織った隊長格であるその服装を身に纏い、彼は日差しが心地よい縁側で横になっていた。
「くー…かー…」
仕事中であるにも関わらず、誰の視線も全く気にする事なく。
なりふり構わず爆睡を貫き通していた。
──鬼と呼ばれる副長の部屋の真ん前の縁側で気持ち良さそうに。
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