暗闇の中の光

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「私、……来て良かった」  地面に座り込み、奴の方を見る。  奴も地面に座り込み、手で熱そうに砂をいじっていた。 「僕のおかげでっ……すっね……」  言葉の途中からまた咳き込み始める。  その音で急がねばならないことに気がついた。ここは、あたし達にとっては死の世界でしかないから。  しかも、今度の咳は相当ひどいらしく、いつまでもやむことがない。 「だ、大丈夫? もう早く行かないと」  私には何も出来ない。ただ咳がやむのを待つしかなかった。  そして、奴の身体は突然糸が切れたように倒れた。  倒れたまま、ぴくりとも動かなかった。  ひどく激しい感情が全身を突き通す。気がついたら、私は奴の隣に座り込んでいた。  私はこんな感情など知らない、もう既に忘れてしまったもの。  ただ静かに涙が流れる。
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