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「でもですね、神様が頑張った結果だとしても、思い通りに動くつもりなど毛頭ありません。神だから、この世界の全てを分かってるなんて思わせたくないんですよ。だから、僕はこの世界を好きになります。狭かろうが、暗かろうが、笑うんです。せっかく生きているんだから、幸せになるんです。だから、僕の生きている世界、僕の大好きな人達が生きている世界、好きで好きでたまりませんよ」
ああ、そうか。だから、この人は地上に行きたがっているのだ。
この人にとって地上に行くことは特別なことではない。
いつもと違う場所から自分のいる世界を見る。ただそれだけのことなのだ。
でも、私の世界はこの人のように広がれるはずなどなかった。たくさんのことを知ってしまったから。
あたしのいる世界は、狭い。
「……若いねえ」
羨ましかった。私はもう若くない。神様に喧嘩など売れやしない年になってしまった。
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