言葉の壁

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「行ってきまーす」 家の中にそう言うと返事を待たずに飛び出した。 服装はプロのチームを真似たユニフォーム。 肩から下げているバッグにはグローブやら何やら道具が入っている。 「今日の相手は…あれ、どこのチームだっけ」 自転車にまたがりながら呟く。 一つ言っておこう。 俺は野球をしている、が決して高校の部活ではない。 アマチュアの大人たちが土日にだけする、“草”のつく野球をしているのだ。 「あ~、そうか。そういえば今日は1位のとこか」 勝ち目は薄い。 何せウチのチームはリーグ内で下から数えた方が断然早いのだから。 ついでに言ってしまえばリーグにもA、B、Cと三つのリーグがある。 ウチのチームが所属するリーグはCリーグ。 お世辞にも上手いとは言えないのである。 「つーか、絶対下手いよなあ」
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