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「兄貴、大丈夫ですか?」
「俺たち兄貴のことが心配で心配で!」
「うそつけ!てめーさっき俺の顔に落書きしやがっただろ!?」
「酷いなー。落書きじゃなくてメイクっすよ!今の兄貴はめっちゃイケメンっすよ!」
「そうなの?いやー、もう死ぬほどイケメンなのにな。俺様困っちまうぜ!」
先ほど美幸の様子を窺っていた二人。彼等は正晴の子分で、倉庫に閉じ込められた彼を助けにきたのだ。倉庫の扉にはつっかい棒が挟まって開かないようになっている。
とりあえずその場をごまかした子分たちは、外にでて鏡を見た後の正晴の怒りを想像し、ぶるぶる震えた。
「とにかくさっさと俺様を出せ!」
子分の片方、天然パーマの方がつっかい棒を外して扉を開けようとした。
「ありゃ、開かないぞ」
「なんだと!?」
「今流行りの2重ロックよ。」
ポニーテールの女の子が二人の後ろに立っていた。
「怪我したくなかったらそこから離れて、おままごとでもしてなさい。」
彼女は持っていた棒を二人の方に向け突きだした。40センチほどの木刀だ。
「ありさか?そいつが鍵を持っているはずだ!やっちまえ!そうすりゃ俺は出られるし、ついでにあれができる」
「まかせろ兄貴!」
二人も怖じ気付くことなく構える。
「え? 二人とも今日は随分やる気なのね?」
「ママに新しいビデオカメラ買って貰ったんだ。」
おかっぱ頭の方の子分がぽつりと言った。
「それで?」
倉庫の中から下品な声で正晴が返答した。
「お前をズル剥けにしてロリコン親父に売りつけるんだよおおお!」
「まあ俺達も無駄な争いはしたくないから、大人しく降伏すれば、儲けの0.1%ぐらいは分けてやらんこともないぞ!」
「に…、にゃあああああああああ!!絶対イヤ!手加減なんかしてあげないんだから!」
ありさはついに怒りの咆哮を上げ、木刀を構えて戦闘態勢に入った。
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