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「君は…さっき何割ぐらいの力を出したの?」
さっきというのはもちろん正晴をシメたときのことだ。早織先生は物騒な質問をする修くんに少し戦慄のようなものを感じた。美幸は一瞬呆気にとられたが、すぐ手を降ろして渋い笑顔を見せた。
「…3分の1ぐらいかな。」
乙女ちっくな顔をしていた美幸はもういない。彼女なりのジョークだったのだろうか。
「ふーん、…」
「おい、ありさが喧嘩してるみたいだぜ。」
「え!?ありさちゃんが!?」
外で遊んでいた園児たちはありさの活躍を一目みようと庭の隅に集まってきた。
ただの喧嘩ならこのさくら幼稚園では毎日50もあるので珍しくないのだが、このさくら幼稚園生徒会副会長代理である木崎ありさのファイトなら別だ。
素人には真似できない華麗な戦いぶりが、血の気の多いさくら幼稚園の園児たちに人気なのだ。
パワーファイターの会長に対して彼女はテクニシャンタイプで、父親の趣味で忍術を習わされている。
「追い詰めたぜ!」
ありさは塀にかこまれた庭の隅に追い詰められていた。
いや、挟み撃ちにされないよう隅まで逃げてきたのだ。
「じゃあ反撃開始するかな?」
「もう遅いんだよ!」
「くらえ我らのダブルパンチ!」
正晴の子分二人は拳を突きだし、突進していった。
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