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「私は今日からみんなの先生になる石津早織です。石津先生って呼んでね!」
「さおりせんせー!」
「さおりせんせ、さおりせんせ」
(みんなあまのじゃくね…話には聞いていたけど…)
さおりせんせは早速涙目になりながらとなりに立っている修くんの自己紹介をしようとした。
「この子は今日から新しくみんなのお友達になる…」
「日岳!!!」
突然教室の扉が開いて金髪を逆立てたツンツン頭の男の子が入ってきた。さくら幼稚園の制服は着ていない。先ほど会長に背骨を折られかけた田中正晴だ。
「糞保健医の話によると俺の背骨はひびが入ってるらしいじゃねーか!!どうしてくれるんだこのアマ!これじゃあ一生車椅子生活だぜ!」
そう言いながら、彼は会長の席へずんずんと歩いて接近していった。早織先生はこの奇怪な状況に呆然としていた。他の園児たちはまたひそひそ話を始める。
(やっぱ生きてたよ。)
(死んで欲しかったのにあの糞野郎)
「バカじゃねーの。背骨にひびが入ってたらそんなにずんずん歩けるわけないだろ」
真っ当な突っ込みを入れる会長。その胸についた花の形の名札には「ひだけ みゆき」と書いてある。
早織先生はようやく我に帰り、正晴を止めようとする。
「あの、席について!君、お名前は?」
「うるせえ!」
しゅっという音と共に早織先生の右の頬をかすめ、後ろの黒板に何か刺さった。ナイフだった。
「―――!」
右の頬の焼けるような痛みが伝わるに連れて早織先生は恐怖を感じ始めた。
「なんてことすんのよ!」
突如、今まで目を丸くしていたポニーテールの女の子が立ち上がって構えた。何故か周りから拍手が起こる。
「あぁ、てめえも刺されたいのか?」
そういって懐に手を入れ、2本目を手に取った。
「あ、危ない…」
早織先生の声は恐怖でか細くなり、届かない。しかし他の園児たちは緊張してる子も多いが大体落ち着いている。無視を決め込んだ者もいる。ポニーテールの女の子、木崎ありさは正晴のナイフを見て固まってしまった。
「ウヒヒ、怪我したくなかったら動くなよ~。俺様いまから日岳の顔をこのナイフでぶっさいくに整形してやる!まあ今でも十分、ブスだけどな!」
おおーという歓声が何人かの園児から上がる。
「それは名案だ正晴!俺は大賛成だぜ!どうせならキャメロンディアスぐらいの美人にしよう!」
「反対してるじゃねえか!」
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