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「そんなナイフで切れるのはカステラぐらいだぜ正晴。」
会長・日岳美幸はナイフにひるむ様子もない。
「んだと?じゃあ、てめえの顔で試しぎりさせろ!」
正晴は美幸に向かって走りだした。美幸はすぐに立ち上がるが、それを期とみて正晴はナイフを投げつける。が、同時に美幸は自慢の剛腕で椅子を片手で投げ、ナイフをはじいた。
「ぶぎゃっ」
美幸の投げた椅子が正晴にぶつかり、情けない声をあげる正晴。
美幸はさらに追い討ちをかけるため走りだす。彼が目を開けた瞬間見たものは美幸の巨大な手のひらだった。
美幸は正晴の頭をつかんで、頭突き、膝蹴り、チョップを浴びせ、首に右腕を絡め、左手で頭を抑え前方に飛び上がった。
――二人の身体が宙に浮く――
「うおおおおおおおおおおお!!」
園児たちから歓声があがる。二人はドシンと音を立てて床に落下していた。美幸はなお正晴の頭を掴み、無理やり立たせる。正晴は後頭部から落ちたためフラフラだった。
「また先生を辞めさせる気?これで3人目なんだけど」
低い声でそういって頭を揺り動かす。正晴は答えられない。
「ちょ、ちょっと…」
早織先生は腰を抜かしていたが、なんとち上がろうとする。
「ありさ」
そういって美幸はありさに目配せすると、よろよろ立ち上がろうとする早織先生の元へ向かった。
ありさは意を解して、大きなくまちゃんのアップリケがついた自分のカバンを開け、何かを探し始めた。
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