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「なんや、もう使ったんかいな、お金は大切に使わなアカンで」
家に帰り事務所から居間に入ると、母は私に冷ややかにいい放った
私は返事をせずに二階に上がり、自分の部屋の布団に潜り込んだ
「マー君、アカンかった、鴨おらなんだわ」
知らない間に祖父は私の部屋に入っていた
私は布団の中で寝入っていたらしく、布団から顔を出して時計を見るともう夕方だった
「なんやマー君、どないしたんや?」
「なんもない」
「なんもないやあらへん、目蓋が腫れてるがな
泣いてたんか?」
「なんもないって」
「そうやったらエエんやけどな
すまんなマー君、晩御飯に鴨を食べさせたかったんやけど、鴨がおらんかった」
「別に鴨なんか要らんで」
そういってから私はまた布団の中に潜り込んだ
「マー君、やっぱ何かあったんやろ?」
「なんもない」
「いじめられたんか?」
「なんもない」
「ジイちゃんはお見通しやで、面白いもん見せたるし布団から出てきい」
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