スズメ

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部屋の窓が開く音が聞こえたので布団から顔を出すと、祖父は窓から銃を外へと突きだしていた 「マー君、見ててみ」 祖父が銃の引き金を引くと、ドンッ、と音と共に電線に止まっていたスズメがパラパラと地面に落ちた 「マー君、鴨の代わりにスズメ食べよか」 階段をかけ上がる激しい音が聞こえ、勢いよく私の部屋のドアが開いた 「親父!何しとんねん!こんなところで銃を撃つなや!」 「いやあ、なんかマー君が落ち込んでるしな」 「アホか!人に当たったらどないするねん!銃を渡せ!」 父が険しい顔で祖父に詰め寄ると、祖父は大きく溜め息をついてから私の方を見て「マー君、面白かったやろ?」と尋ねた 「親父、何いうとんねん!はよ銃を渡せ!」 父が祖父から銃を取り上げて部屋から出ていく頃に、遠くからパトカーのサイレンが聞こえた 結局祖父は銃刀法違反で捕まり、二週間ほど拘置所に入ることになった 起訴は免れたものの猟銃所持免許を剥奪された
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