スズメ

「マー君、最近の警察は融通が効かんな
スズメ撃ったくらいであんなに怒らんでもエエのに」
拘置所から出てきた祖父はそういうと私に苦笑した

五年後の昭和64年1月4日、祖父が癌で死に遺品を整理していると、祖父の部屋の押し入れから旧陸軍の軍用拳銃と実弾数発が見つかった
私の父は「親父、こんなものを隠してたんか」というと、拳銃を警察に届けて廃棄を依頼した
こうして我が家から銃がなくなった

平成15年1月1日

父は三人兄弟の長男で、正月になると毎年叔父が我が家を訪ねてくる
「マー君、ちょっとええかな？ちょっと話があるんやけど」
大晦日に飲み過ぎて部屋で寝転がっていると、父側の兄弟の一番末の叔父が部屋に入ってきた
「おっちゃん、明けましておめでとうございます」
「おめでとう、ところでマー君は今何歳や？」
「今年で25歳やで」
「そうかそうか、ちょうどエエわ」
「なんやおっちゃん、見合い話？まだ結婚はせんで」