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4つあるホールはそれぞれ廊下で繋がっている。
どこへでも自由に行き来できるようだ。
「手分けしよっか」
神様が大輔に言った。
「私はこっち。大ちゃんはそこの扉をよろしく」
勝手に仕切っている神様だが、すごく今更の話なので大輔はおとなしく従った。
「はぁ、はぁ…」
「亜紀、ごめんね。大丈夫?」
繋いでいた手を離し、亜紀の顔を覗き込んだ。
「私は大丈夫…」
笑ってそう答えてくれるが、顔は明らかに苦しそう。
「ごめんね…」
名前泥棒は考えていた。
これ以上亜紀に無理をさせるわけにはいかない。
もはやこれまでか、と。
だが、ここで終わらせるわけにはいかない。
その理由が彼にはあった。
「ごめんね、もう少しだけ我慢してね」
そう言って、亜紀の手をまた握った。
亜紀も頷いて答える。
反対側の扉に向かって走りだした。
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