名前を盗まれる主人公

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俺は一瞬、思考停止した。 「俺…君の彼氏だよね?」 もう泣きそうになりながら自分を指差して言った。   「はぁ?気持ち悪いこと言わないでください!警察呼びますよ?!!」 亜紀ちゃんは怒りのこもった顔でそう言った。       次の瞬間、 「亜紀」 別の男が現れて、亜紀ちゃんの肩に触れた。   再び俺の思考が止まる。   「遅かったね。」 「ごめんね、道が混んでてさ。この人は知り合い?」 「ううん、ちょっと声をかけられただけ。」 「そっか、んじゃ行こうよ。」   そんな会話をして二人は立ち去ろうとした。               「ちょっと待てぇぇぇぇぇ!!!」 駅の改札口前にも関わらず俺は大声で叫んだ。   「おいそこの男!!お前何者だぁぁ?!!亜紀ちゃんとどういう関係だゴルァ!!!!!」           「俺は『田村大輔』だよ」   男が一瞬笑ったように見えた。   だがそれよりも重大な問題は、 俺と同姓同名の男が俺の彼女の隣にいることだ。   俺の思考は完全に使い物にならなくなっていた。
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