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「あ……愛羅ちゃん!!あの、前から好きでした!その……僕と付き合って……」
ある男子生徒の口から、しどろもどろに紡ぎ出された愛の言葉。
ここは学校の校舎裏。
学内では昼休みでも割と人気のない一角。
こんなベタベタなシチュエーションで告白してきたのは2つ上、3年生の先輩。
えーと……名前は何だっけ?
さっき聞いたんだけど、忘れた。
つまりほぼ初対面の先輩だ。というか、確実に初対面だと思う。
だってこんな顔、記憶の片隅にもない。
「ごめんなさい」
「えっ!?」
あたしがあまりにも間髪入れず断ったので、先輩が驚いて声を出した。
だが、長引かせると少しは気があると勘違いさせる恐れがある。
甘さは禁物。畳み掛けるべし。
そこで言うべきキメ言葉はこれ。
「あたし……まだ誰かとお付き合いしたいと思ってないの」
その言葉に男子生徒の顔が暗くなった。
「あなたのお気持ちはすごく嬉しいけど、今はみんなとお友達でいたいの……だから……」
最後にとっておきの悲しげな表情を。
─────大抵はコレで……
「そっか……そういうことならしょうがないよな。ごめんね、困らせて。でも、言えてよかった。ありがとう!!」
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