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僕は慌てて引き出しの奥から昔使った包帯を出して、背中にぐるぐると巻き付けた。
このままでは服を着たって、背中のもりあがりで皆に気付かれてしまう。
「ふっ・・・うぇ・・・!」
謎の恐怖に手が震えて、涙が溢れてきた。
背中に羽根が生えるなんておかしくて、今までの自分には戻れないような気がした。
だってこんなの“普通”じゃない。
僕は“普通”で居たかったのに。
絶対に皆に気付かれてはいけないと思った。
僕が“普通”じゃないことに気付かれちゃ駄目なんだ。
僕は“普通”だから今此処に立っていられるんだ。
僕が“普通”だから皆は僕と接してくれるんだ。
だから僕が“普通”じゃなくなったら、“普通”じゃなくなったことに気付いたらきっと皆僕から離れていってしまうだろう。
それがすごく怖くて、涙が止まらなかった。
絶対に気付かれちゃ駄目だ。
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