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部屋に戻って着替えようとすると、また背中に違和感が。
怖くなって急いで姿見の前に行って服と包帯をほどく。
すると朝よりも数倍大きくて真っ白な羽根が窮屈そうに折れ曲がったところを直しながら姿を現した。
もう首だけで後ろを見るだけで視界に入ってくるような大きさ。
試しにその場で軽くジャンプしてみると、背中の羽根がフサフサと揺れて床に何枚かの羽根が落ちた。
本物だ。
今度は合わせ鏡をして背中の皮膚との接合部を見てみた。
羽根の付け根の皮膚は他のところと同じ色のままで、まるでこの羽根が生まれつき生えていたみたいな錯覚に陥りそうになる。
「なんで・・・?」
僕はその場にへたり込んだ。
大きくなった羽根がすぐ後ろにあったベッドに引っかかった。
「いてっ」
この羽根には痛覚まであるみたいだった。
神経が通っているなんて、まるで僕の身体の一部みたい。
今度は涙も出なかった。
恐怖よりも明日からの生活が不安になったんだ。
幸い、明日は土曜日。
2日間は対策を練る時間がある。
元々足りてない脳を懸命に働かせて、僕はこの羽根を隠すことを考えることにした。
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