苺短編集

翼のハナシ

僕は中学生の時にいじめられていた。
理由は僕が“普通”じゃなかったから。
僕は中学生の時、とても陰気で皆の輪に入ることができない子だったんだ。
おまけになんの取り柄もなくて、鈍くさくて、逃げてばかり。
今思えば、そんな子はいじめの格好の的であると分かるけれど、あの頃の僕は自分を変える勇気もなくて“普通”じゃないことにも気付かなかったんだ。

そうしていじめられ続けて、僕は部屋に引きこもるようになった。
引きこもりを止めさせようとしたお父さんはドア越しにはっきりと言った。

『お前はどうして“普通”にできないんだ？！』

そこでやっと僕は気付いたんだ。
今までの僕は“普通”じゃなかったことに。
そして、“普通”になればいじめられないってことも。