ひゅうまんロジック

2/2
前へ
/26ページ
次へ
  例えば、自分を尊重する人。所謂自己中心的人格の持ち主――自己中心主義者とでもいうのだろうか。   僕はこの人を“その人らしい”とは思わない。   それは、自己中心主義者が現代の世界に蔓延っているからで、突き詰めれば、全世界の人々全員がそれであると言っても過言ではない。   誰だって自分が1番大切なのだ、そう思う僕は空想を誇張した愚か者だろうか。   ある友達にそう聞いてみると、そうでないと否定してくれた。   結局人間は自己中なのだと友は言う。 かの有名なゴエモンですら、熱湯で我が子共々処刑される時に、最初のうちこそ我が子を掲げて、「この子だけは助けてくれ」と叫んでいたものの、最後にはその子供を踏み台にして助かろうとしたのだ。   それが人間の深層心理。   結局人間は愚かで罪深い。つまるところ“自分らしさ”なんてわからない。   自分さえよければそれで良いという考えが、自分らしさでないならなにが自分らしいということなのか。   愚かな事が、人間である必要十分条件であると僕は考える。   そう友に話してみると、彼はこう答えた。   『その考え方が君の“人間らしさ”だ』   つまりはそうらしい。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加