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混濁した意識の中に、記憶の闇が蘇る。
僕はハッピーエンドが大好きだ。
理想を具現したような話しが、大好きだ。
人の人生には、完璧なんてないのだから。
だから漫画の最後だけでも、主人公の思う形にしてやりたい。
やっぱり僕は子供なんだと常々思う。
二兎を追う者は一兎をも得ずとは、僕の為にある事なのか。
さて、何故こんな話を最初に持って来たのか。
それは僕の愚かさを知らせる為だ。
僕は二人の女性に恋をして、二股を掛けたのだ。
一方の女性と身体を重ねる度、もう一方の事を考えていた。
片方はミスキャンバスに輝く美人で、片方は有名大学に通う文学少女だった。
人間というのは上手く出来ている。全て順風満帆に事が運ぶはずもない。
意識が遠退いていく……。
「両手に花とはこのことか……」
左手を文学少女が、右手をミスキャンバスが、それぞれ包みこんでいてくれる。
ブロックで頭を殴られただけで、人はよく死ねるものだ。
――正確には死んでいないのか。
女二人が許しても、それらどちらかを好きな男に殺される……か……。
成る程、これは確かにハッピーエンドだ……。
やっぱり僕は死ぬだろう。
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