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「……………なんでもありませんから、もう気にしないでください。」
避けるならもう少し自然にさけなさいよ。と言ってやりたいくらいイライラするけどぐっと我慢した。少し無愛想かもしれないけど、これが今の精一杯だ。
「、そうですか。しかし、どうやってここから脱出しましょう?」
先生は様子を確認するためか、割りと大きい倉庫を見渡した。
ここにはサッカーボールやハードル、跳び箱など体育に使うものがあるが、どれも授業用なのだ。つまり、部活で使われる道具はおいていないので部活をしている人がこない。
「ここは、校庭や体育館から離れてますから部活に使われる物はおいていません。なので大きい声を出して助けを求めても無駄みたいです。」
まず、こんなボロの倉庫にあまり人は近づきませんよ。と言って先生の様子を伺う
「ボロ………」
「え、ボロ?」
そうか、そうすれば。と先生はなにか思いついた!とばかりにぱっと顔を上げる。
「美加さん、少し戸とわたしから離れてくださいね。」
「は、い。」
なにがなんだかわからない。が、先生はなんのためらいもなく戸に近づき
ドガン!!
回し蹴りで錆びてボロくなった戸を蹴り破ったのだ。
「さ、もう出られますよ。」
戸が壊れたことで一気に入ってきた夕日の光を背に先生がにっこり満面の笑みを浮かべていた。
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