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アドリアルは頬杖をついていた手を外すと
何か文句があるか?
とばかりに少年──ルーシェスを見る。
その視線に、一瞬だけルーシェスは戸惑ったように体を揺らした後
「あるに決まってるだろ!
紅茶が飲みたいなら、他の誰かに頼め!
この王宮の誰かに頼めば、涙を流しながらいれてくれるからな!」
どうだ!とばかりにふんぞりかえる。
しかし。
アドリアルは小馬鹿にしたように笑ってから
「他の者の入れる紅茶は不味い。
お前のよく言う適材適所というものだ」
ん?と反論などないだろうとばかりに紅茶を口に含む。
その瞬間。
「ぬるい
いれなおせ、ルーシェス」
突き返された紅茶のカップに、ルーシェスの堪忍袋の尾は切れた。
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