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それだけで康永はグニャリと空間が歪んだような感覚を覚えた。
女も怪訝な顔で招かれざる客を見る。
続いて身を屈めて大きな身体の男が入ってくると、
もともと薄暗くしていた店内が暗黒の底に沈んだような感覚に包まれた。
女は、顔を引きつらせて身じろぐと自分のブラントバックをにぎりしめ、
大男の脇を擦り抜けて出口に向かおうとした。
大男はぢろりと女に目をやると、
丸太のような腕で女を店内に押し戻すように突き飛ばした。
女はいくつかの椅子を巻きぞえにして壁にたたき付けられると白目を剥いて身動きしなくなった。
……死んでいるかもしれない。
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