石楠花

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澄んだ空に向かって 風が吹いた                           古の京での日々は 桜木のように散りゆき 記憶の向こうに居る人々は 戻って来る筈もなく 夢の中で消える              枕元に置かれた大小は あの日々を思い出させ 記憶の中にある闘いは 今起こっている訳でなく 現に戻される              縁側に咲く石楠花は 手が届きそうで届かず                           花は桜木   人は武士 浅葱色に   風光る
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