そこの名は

3/3
5225人が本棚に入れています
本棚に追加
/360ページ
「何ですかぁ?どうかしました?」 女性は笑顔で聞いてきた。 「あぁ沖田先生。何でもないですよ。ちょっと無礼な娘が………」 「娘?」 「はい。その娘が『此処が宿なら部屋は空いてる』かと聞いて来まして」 「へぇ~。変な子もいるもんですね。此処が何か知らないなんて」 沖田と呼ばれた女性は不思議そうな顔をする。 「全く。怖いもの知らずと言いますか、世間知らずと言いますか。馬鹿な娘です」 門番は馬鹿にしたように笑った。 沖田はそんな門番を見ながら金平糖を口に運ぶ。 「………此処が何だか教えてあげれば良かったのに」 「そうですか?ワッハッハ!」 門番はまた豪勢に笑う。 門の端にはこう書かれていた。   ―――新撰組屯所―――
/360ページ

最初のコメントを投稿しよう!