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「何ですかぁ?どうかしました?」
女性は笑顔で聞いてきた。
「あぁ沖田先生。何でもないですよ。ちょっと無礼な娘が………」
「娘?」
「はい。その娘が『此処が宿なら部屋は空いてる』かと聞いて来まして」
「へぇ~。変な子もいるもんですね。此処が何か知らないなんて」
沖田と呼ばれた女性は不思議そうな顔をする。
「全く。怖いもの知らずと言いますか、世間知らずと言いますか。馬鹿な娘です」
門番は馬鹿にしたように笑った。
沖田はそんな門番を見ながら金平糖を口に運ぶ。
「………此処が何だか教えてあげれば良かったのに」
「そうですか?ワッハッハ!」
門番はまた豪勢に笑う。
門の端にはこう書かれていた。
―――新撰組屯所―――
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