一章~シマの場合~

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          ゴミ収集車にしては綺麗な車に乗り込む、これまたゴミ収集員にしては若い作業着姿の二人。         助手席で首を締められているのは、この仕事を初めて六か月の新人、俺こと       『三崎 志真』       人の流れに逆らわず小中高と普通の学校を出て、 人の流れに沿って大学に行き、     そして人の流れに沿って―――――――                     就職難に巻き込まれた。           手に職をつける為に知り合いを頼って、四十三人目に電話した叔父さんの友達のそのまた友達の――――       …それ以上は忘れたけど、とにかく、その知り合いに今の会社の社長が居て、運良く拾って貰えた。                   ……いや運良くはないか…                 会社としては最高だ。       新人でも結構な額の給料を貰ってるし、有休も多いし、社員旅行は社長持ちで老舗の温泉旅館だし。                     だが俺は仕事を始めてから彼女にフラれた。         理由は、仕事内容がゴミ収集だから。 直接的には言ってないが、       『不潔な人ってダメなの。』       なんて言われれば分かる。                
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