不意に、おちる。

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「お前、プライベートだってのに相変わらず堅苦しいな」   一緒に歩く手前無言もおかしいよな、そう思い隣を行く古泉をちらりと一瞥、なんとなく目についた服装の事を指摘してみる。   ハルヒの前でもないのにかっちりした黒いシャツにレザーパンツ、ジャケットこそ着てないし袖はまくってるがそれでも何かこう…雑誌モデルがそのまま歩いてる雰囲気とでも言えばわかるか? どうも普段着って感じじゃない。   こいつの隣じゃ、普通の格好してる俺が何故だか浮いてしまいそうだ。   「そうゆう貴方は随分ラフですね」   何気ない口調も嫌みに聞こえてくるぜ。   1人出歩くのにTシャツジーパンで悪いか。 ちょっと出かける程度で洒落込むお前がおかしいんだ。   「僕も別に洒落込んだ覚えはありませんが……そうではなくてですね、無意味に着飾らなくても貴方はそのままで十分素敵だと、そう言うつもりだったんですよ」   日差しの眩しさを受けてか、屈託なさを感じさせる笑みがいつも以上に輝く。 CMみたいな演出もなしでこれだ、そこらの女子がこぞってこいつに夢中なのも無理ない気もする。   生憎男の俺には効果ゼロだが。
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