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「おい古泉」
ただ紅茶を飲む、とゆう動作がこれほど様になるとは、まったくそこにいるだけで嫌味な北校きっての希代の色男、こと古泉を強い調子で呼びつける。
「なんでしょう?」
相も変わらず優雅な微笑みを湛えて奴は俺を見た。
ちなみに紅茶の茶葉は我等が朝比奈さんが
「たまにはこうゆうのもいいかと思って」
と絶妙な気遣いで購入したものだった。
それに合わせたティカップ一式も彼女が揃えてくれた物らしい。
確かオレンジペコーとかなんとか言っていたが、なるほど紅茶なんてよく知らない俺でも朝比奈さんに似合いの可愛らしい名前のそれは確かに美味しいと感じられた。
まあ俺の場合、彼女が俺の為に用意してくれたとゆうものなら、青汁の類でも美味いだろう…きっと。
そんな事を呑気に考えてられるほど暇だ。
嫌になるほど日常。
長門は窓際の定位置でやたらに分厚い本を読んでるし、朝比奈さんはいそいそと残りのメンバーにお茶を運んでくれている、そしてハルヒは珍しくSOS団のサイトなんかチェックしてるらしくパソコンに向かって比較的大人しくしていた。
…平和だ。
俺のもっとも望むものだ。
この平穏を、ハルヒとは別の意味で壊してくれやがった人物がいる。
それがこいつ。
嫌々ながら、しかし問題解決の為一晩中俺の頭を悩ませ続けた全ての要因。
「…お前俺の事を好き、と言ったな」
昨日の出来事を反芻しながら、また何かを思いついたらしく唐突に始まったハルヒの熱弁に紛れるような小声で呟く。
「ええ。…おや、もう返事を頂けるんですか?」
憎たらしいほどの爽やかスマイルが少しも驚いた様子もなく言った。
返事とは昨日の事。
帰り際の別れ道での事。
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